エリクソンの発達課題から見る学齢期と老年期の心理学
人間の発達は生涯にわたる旅であり、その各段階は特有の課題と危機を伴います。エリクソンの発達段階理論は、これらの段階を8つに分け、それぞれの段階で直面する課題を明らかにしています。今回は、その中でも特に「学齢期」と「老年期」に焦点を当てて考察します。これらの段階を選んだ理由は、学齢期が子どもの自己認識と社会性の形成に重要な時期であり、その後の人生に多大な影響を及ぼすからです。そして、老年期は人生の終わりに向けて自己を振り返り、人生を評価するという重要な課題を持ちます。両者のつながりを見た時に、人生の主人公として自分を意識的に捉えることができるはずです。
エリクソンの発達課題とは

学齢期の発達課題:勤勉性

学齢期(5〜13歳)の子どもたちは、エリクソンの発達段階理論によれば、「勤勉性」を育むという課題に直面します。この段階の心理社会的危機は「劣等感」であり、勤勉性の課題を克服することができると、「有能感」という力を得ます。
日本人は「勤勉性」ゆえに今の経済発展を遂げたと言われていますが、今の子どもたちは果たしてどうなのでしょうか。古い人間としては、この勤勉性を学齢期に身について欲しい課題だと強く思っています。
勤勉性を育む習慣づくりのステップ(例)
1 目標設定:具体的で達成可能な目標を設定し、それに向かって挑戦と努力を促すことが重要です。
2 計画立案:目標達成のための計画を立て、それに従って行動することが求められます。
3自己評価:自分の行動や結果を客観的に評価し、必要な改善点を見つけ出すことが大切です。
4反省と改善:他からのフィードバックを受け、失敗から学び、改善につなげることが重要です。
5 継続的な学習:新しい知識やスキルを学び続けることで、自己成長を促進します。
勤勉性を養うには、以上のようなPDCのサイクルを習慣化できる仕組みを作ることを意識してもよいと思います。
学校では、時間割に従って学習を進める、宿題の提出期限を守る、テストで好成績を取るためにコツコツと勉強するといった活動を通じて、勤勉性が育まれます。さらに、子どもたちが「努力が認めてもらえる」と思えるような環境を作ることも重要です。特に、発達障害を持つ子どもの場合は、児童期に劣等感を抱きやすい傾向があります。そのため、子どもたちが「出来た!」という体験をたくさん積むことが、勤勉性の育成にとって重要とされています。このような体験は、子どもたちが社会に認められる経験となり、勤勉性の確立に寄与します。この点を考慮に入れて、子どもたちが努力を続けることを励まし、その努力を評価することが重要です。
老年期の発達課題:自己統合
一方、老年期(65歳以上)の人々は、「自己統合」を育むという課題に直面します。この段階の心理社会的危機は「絶望」であり、自己統合の課題を克服することができると、「知恵」という力を得ます。
自己統合とは、自分の人生を振り返り、その全体像を理解し、自分自身と和解することを指します。これは、自分の人生を肯定的に評価し、過去の選択や行動を受け入れ、自分の人生に対する満足感を感じることを意味します。
人生100年時代と言われ、退職年齢も伸びている今、この時期をどう生き抜くかは、本当に重要な課題になってきます。
自身のこれまでの人生の振り返りと、退職後のセカンドキャリアをどう構築するか、対話をしてみたいものです。
まとめ
エリクソンの発達段階理論は、人間の成長と発達を理解するための重要なフレームワークを提供します。それぞれの段階での課題の達成が、次の段階への準備や成功につながり、個人の成長を促進するとされています。
この理論を理解することで、子どもの発達段階に応じた適切なサポートをすることができます。それが、高齢期の人からの大切な役割でもあり、贈り物になって素敵な未来へのバトンを渡し続けたいものです。

