なぜ「核武装は最も安上がり」と主張する政党が支持を集めるのか?

心理学的視点からの考察

最近、「核武装は安上がり」といった極端な主張を掲げる政党が支持を拡大している現象が注目を集めています。

この政党の街頭演説は、これまで政治に無関心だった層を熱狂させ、議席を伸ばす結果を生んでいます。

しかしながら、その主張の多くは論理的に破綻していることが指摘されており、都合が悪くなると議論から逃げたり、発言のログを削除するなどの行動も見られます。

このような状況を背景に、なぜ人々がこうした言説に惹かれ、支持を寄せるのかについて、心理学的視点から考察してみます。

1. 大衆心理の特徴:なぜ人は簡単に騙されるのか?

人々が極端な主張を信じる背景には、大衆心理の働きが存在します。特に以下のような要因が影響していると考えられます。

1.1. 感情的訴えの力

シンプルなスローガンの魔力
短いフレーズは記憶と感情に強く残ります。キャッチーな一言が「解決策」や「安心材料」として機能し、深い検証を必要とせずに賛同を呼びます。

特に動画やSNSで「見た瞬間」に理解できるメッセージは、感情だけが急速に増幅されるため、論理的反論の余地を奪います。

街頭演説やメディアを通じた主張は、感情に強く訴えかける内容であることが多いです。

例えば、「核武装は安上がり」という主張は、経済的な合理性を装いながら、恐怖や安全保障への不安を煽ることで、人々の感情を揺さぶります。

心理学的には、感情が判断に与える影響は非常に大きく、特に恐怖や不安は人々を簡単に操作する力を持っています。

1.2. 権威への盲従

演説者が自信を持って断言する姿勢や、支持者の熱狂的な態度は、権威への盲従を誘発します。

人は、自分より知識があると感じる人物や集団に対し、無批判に従う傾向があります。これを「権威への服従」と呼び、ナチス時代にも同様の現象が見られました。

1.3. 集団同調性 同調圧力 認知的不協和

若い世代や政治に関心が薄い層は、周囲の意見に流されやすい傾向があります。

心理学的には「集団同調性」と呼ばれるこの現象は、人が孤立を恐れるために生じます。

特に、SNSや街頭演説で熱狂的な支持を目の当たりにすると、「自分もその流れに乗らなければならない」と感じることがあります。

また複雑な社会構造を単純な敵・味方に分ける言説が、理解しやすく心地よいと感じられます。

このような心理状態では、論理的な整合性よりも「感情的な共鳴」が優先されるため、デマや偏見にも抵抗なく飲み込まれてしまうことがあります。

このような集団は、孤立感を強める若者、ミソジニー(女性嫌悪)といわれる層の居場所にもなりやすく、自分の立場を脅かす存在を「敵」として認識することで、安心感も生まれるのかもしれません。

さらに、こうした傾向は、認知的不協和を避けるために、都合の悪い情報を排除し、自己の信念を強化する方向に働きます。

つまり、反証されても「自分は間違っていない」と思いたいがために、さらに過激な言説にのめり込むという悪循環が生まれます。

2. 認知的特質の問題:データの読み取りの困難さ

特定の主張が支持される背景には、人々の認知的な弱さも関係しています。特に以下の点が挙げられます。

2.1. 流動性推理の弱さ

流動性推理とは、新しい情報を論理的に分析し、結論を導き出す能力を指します。この能力が弱いと、複雑なデータや矛盾した情報を理解することが困難になります。その結果、感情的な訴えや単純なスローガンに引き寄せられやすくなります。

2.2. 視空間認知の問題

視覚的な情報やデータを正確に読み取る能力が欠如している場合、数字や統計の裏に隠された意味を理解することができません。例えば、「核兵器は安上がり」という主張の裏にあるコストやリスクを正確に評価することが難しくなるのです。

2.3. 信念の維持 確証バイアス

一度信じたものを覆すのは非常に難しいという心理的特性があります。

「確証バイアス」と呼ばれるこの現象は、自分の信念を支持する情報だけを選び取り、矛盾する情報を無視する傾向です。

そのため、デマや論破された主張を見ても、信じた者はそれを認めたがらないものです。なので、これを防止するためにも「政教分離」の原則が必要になってきます。

3. 若者が特に影響を受けやすい理由

若い世代がこうした主張に影響を受けやすい理由は、知識や経験の浅さに加え、以下の心理的要因が関係しています。

  • 情報リテラシーの不足から: 情報の真偽を見極める力が未熟であるため、感情的な訴えに流されやすい。
  • 社会的承認欲求: 周囲に認められたいという欲求が強く、集団に同調する傾向がある。
  • 批判的思考の欠如: 複雑な問題を多角的に考える能力が発展途上である。

4. まとめ:私たちにできること

孤立感やミソジニー傾向を持つ人々が過激な政治的メッセージに惹かれるのは、単なる情報の誤認ではなく、深層にある「自己の居場所を求める欲求」や「脅かされたアイデンティティの防衛」が関係しています。

このような人々に対しては、単に論破するのではなく、多様な価値観に触れる機会を設けるといった心理的安全性を確保したアプローチが必要です。このような状況に対して、私たちができることは以下の通りです。

  • 情報リテラシー教育の強化: 若い世代に対し、情報の真偽を見極める力を育む教育を行う。
  • 安心して話せる場を提供する 対話実践の場をつくりコミュニケーション手法を学ぶ 
  • 多様な価値観に触れる機会を設ける 自分の感情や不安を言語化できる支援をする
  • 批判的思考の促進: 単純な主張に流されず、多角的に物事を考える力と断る技術も必要です
  • 感情的訴えへの警戒: 感情に訴える主張に対し、冷静にデータや論理を検証する姿勢を持つ。

「核武装は安上がり」という主張が支持を集める背景には、心理的・認知的な要因が複雑に絡み合っています。

また、18〜29歳の若者を対象にした調査で、マルチ商法の認知度は高いものの、被害は20代の若者に集中している傾向が明らかになっています。

この問題に対処するためには、個々人が情報を批判的に捉える力を持つことが重要です。このような、教育や啓発活動を通じて、大衆心理に流されない社会を目指していく必要があります。