子どもの「やる気」が出ない—自由の中の不自由さとは?
最近、「イマイチやる気が出ない」というお子さんについての相談を受けました。何をすれば彼らのやる気が引き出せるのでしょうか?「今やりたいことは何?」と尋ねると、多くの場合「ゲーム」と答えます。ゲームの持つ魅力は計り知れないものがありますね。
現代の子どもたちは、何をしてもいい状況にあり、選択肢は驚くほど広がっています。しかし、選択肢が多すぎることで逆に「何をしていいかわからない」という状態に陥っているのかもしれません。まさに「自由という名の不自由さ」を感じているのではないでしょうか。
学校では、部活動や勉強が子どもたちの「仕事」です。しかし、その仕事にやる気が起こらず、無気力状態になってしまうことがあります。
一種のメンタル不全とも言えるでしょう。まだ人生は始まったばかりで、これから半世紀以上も生きていくのに、早くも疲れてしまうのは心配ですね。

やる気はどうすれば湧いてくるのか?
そもそも、やる気は急に出てくるものではありません。さまざまなことに挑戦し、「これって面白いかも」「またやりたい」と感じることで生まれてくるものです。そこで、一般的に言われている「やる気の方程式」をご紹介します。
やる気の持続=達成期待度 × 誘因の魅力 × 欲求の強さ
- 達成期待度(できる見通し):自分がそれを達成できるという見込みの度合い。
- 誘因の魅力(惹きつける見返り):その行動によって得られる報酬や満足感の大きさ。
- 欲求の強さ(やりたい度):その行動をどれだけ強く望んでいるか。
この3つの要素のうち、どれか一つでも欠けると、やる気は起こりにくくなります。
内発的動機と外発的動機
やる気には「内発的動機」と「外発的動機」の2種類があります。
- 内発的動機:好きだからやる、興味があるからやるといった、自分の内から湧き出る動機。
- 外発的動機:報酬や評価など、外部からの刺激による動機。
興味深いことに、外発的動機であるご褒美を与えすぎると、内発的なやる気が減少することがあります。これは「アンダーマイニング効果」と呼ばれています。つまり、もともと好きでやっていたことでも、外部の報酬が過度に与えられると、その行動自体の楽しさが感じにくくなるのです。

やる気を引き出すためにできること
- 選択肢を絞るサポートをする
子どもにとって選択肢が多すぎると、何を選べば良いのか迷ってしまいます。親や教師がある程度の選択肢を提示し、その中から選ばせることで、迷いを減らすことができます。 - 目標設定の手助けをする
子どもが自分の目標を見つけるのは容易ではありません。一緒に話し合い、短期的な目標から長期的な夢までを一緒に考えることで、達成期待度を高めることができます。 - 小さな成功体験を積み重ねる
小さな達成感は大きなモチベーションにつながります。簡単な課題やチャレンジを設定し、学習の躓きがある場合は、簡単なできる課題から成功体験を積み重ねることで、自信とやる気が育まれます。 - 内発的動機を尊重する
子ども自身が「楽しい」「もっとやりたい」と感じることを重視しましょう。外部からの報酬よりも、自分の興味や関心から来るやる気は持続しやすいものです。 - 失敗を受け入れる環境を作る
挑戦には失敗がつきものです。失敗しても責めず、次へのステップとして捉えることで、子どもは安心して挑戦できます。 - 新しいことにどんどん挑戦する
やってみなければ楽しさはわからないので、まずは挑戦してみる。特に子どもたちには、さまざまなことに触れる機会を与えることで、自分の興味や好きなことを見つけやすくなります。
最後に
例えば、中学生が部活の試合に負けたとき、次への反骨心がないと感じることがあります。勝利だけを目標にしていると、それが難しいとわかった瞬間に諦めてしまいがちです。他にやりたいことがないと、無気力になってしまうことも。しかし、それは頭でわかっていても、気持ちが追いつかないものです。今の気持ちをしっかり聴いてあげて、「あなたには、こういう強みがあるから、これをやってみたらどう?」と強みの発見と承認を交えて、少し限定した言い方も効果があるかもしれません。
大事なことは動きを止めないで、少しずつでも新しいことに挑戦し、自分の価値観に合った目標を見つけることだと思われます。その過程でやる気が湧き、持続していくでしょう。
もしお子さんや自分自身が「やる気が出ない」と感じているなら、「こんなことはどう?」と小さな一歩を踏み出せるように誘ってみませんか?新しいことへの挑戦は、新たな発見や喜びにつながるかもしれません。そして、その経験が次の一歩へのやる気を育んでくれるでしょう。

