子どもの成長を促す問いかけと学習法: ドラマ『御上先生』から学ぶ教育のヒント
目次
はじめに
自分の考えを言語化するのは、難しいし、訓練も必要ですよね。最近、民放のドラマは全く見なくなっていましたが、知人に勧められて見た『御上先生』は、教育の問題を語る上でも、サスペンスドラマとしても本当に面白い作品です。明日、第5回目の放送予定ですが、前回の生徒がディベートする回は秀逸でした。
今回は、このドラマを通じて見えてくる、子どもへの効果的な問いかけのテクニックや学習効果を高める手法、そして「Personal is political」というテーマについてまとめてみました。
1. 否定せずに考えさせる問いかけのテクニック
『御上先生』の中で印象的なのが、神崎くんの父親が決して子どもの行動を否定せず、「おもしろいか?」と問いかけるシーンです。この姿勢は、子ども自身に自己反省や自己理解を促すための効果的な方法です。

- オープンエンドの質問をする: 子どもの思考や感じ方を引き出す質問
例: 「それについてどう思う?」「その考えに至った経緯を教えて」「何がそうさせた?」 - 感情や興味を探る:
例: 「やってみてどんな気持ちになった?」「面白いところはどこ?」 - 選択肢を考えさせる: 自分で解決策や次のステップを考える。
例: 「次はどうしたいと思う?」「ほかにどんな方法がある?」「もし違う結果を望むなら、どうすればいいと思う?」 - 経験を振り返らせる:
例: 「前回はどう対処したっけ?」「その時、学んだことは?」 - 次の行動を考えさせる:
例「次にやるべきことは何?」「この経験から何を学んだ?」 - 結果を予測させる:
例「どういう結果になると思う?」「違う選択肢を選んだら、どう?」 - 自分の意見を尊重する:
例「その考え方、いいね。どうしてそう思ったのか詳しく聞かせて」
これらの問いかけのテクニックにより、子どもの自己肯定感を高め、自立心や問題解決能力の育成につながります。能力の高い生徒だからできることかもしれないけれど、自分で「考えて」と常に問いかけることで育つ能力だと思いますし、そこを信じて関わりたいものです。
2. 学習効果を高める手法の紹介
『御上先生』では、学習効果を上げるための具体的な手法も紹介されています。
- アクティブリコール(能動的想起): 学んだ内容を自分で思い出すことで、記憶の定着を図ります。ノートを見ずに内容を再現したり、他の人に教えたりすることで効果が高まります。
- スキャフォールディング(足場作り): 教師や親が適切なサポートを提供し、子どもが自分の力で課題を解決できるよう支援します。段階的にサポートを減らし、自立を促します。
- プロジェクトベース学習: 実際のプロジェクトや課題に取り組むことで、実践的なスキルや知識の習得を目指します。チームワークやコミュニケーション能力も育まれます。
- リフレクティブ・プラクティス(振り返り学習): 学習後に自分の理解度や気づきを振り返り、次につなげます。日記や学習ログを書き、自分自身を客観的に見つめます。
3. 多様な価値観を共有するディベートの活用
前回の生徒がディベートする回は特に秀逸でした。あえて賛成の意見を持っている生徒を反対側に回らせ、論駁させていました。その意図は、相手を論破することが目的ではなく、様々な立場から再度自分の考えを振り返り、立て直すこと。そうすることで、より賛同者を増やすことが狙いです。しかし、結末がどうなるかは生徒に託されています。
この手法には、いくつかの教育的効果があります。
- 視点の転換を促す: 自分とは異なる立場に立つことで、多角的な視野を養います。他者の意見や価値観を理解し、共感する力が育まれます。
- 批判的思考の育成: 賛成・反対双方の立場から物事を考えることで、論理的な思考力や問題解決能力が向上します。
- コミュニケーションスキルの向上: 相手の意見を尊重しつつ、自分の主張を明確に伝える技術を磨くことができます。
4. 教師像の対比から考える教育の姿勢

『金八先生』と『御神先生』の教師像は対照的であり、それぞれ異なる教育のアプローチを示しています。
- 金八先生: 生徒一人ひとりに深く感情移入し、問題解決に奔走する姿が描かれています。情熱的で親身な関わりが特徴です。
- 御上先生: 生徒の自立を重んじ、冷静かつ公正な立場で指導します。生徒自身に考えさせ、答えを導き出すサポートを行います。
この両者のバランスを取りながら、生徒の発達や個性、ニーズに応じた関わり方が求められます。
不確実な時代だからこそ、教育に携わる人は、過去を振り返りながらそれぞれが軸となる教育哲学をもつことが求められていると感じます。
5. 「Personal is political」の意味とドラマの意図
このドラマにはメモしたいキーワードがたくさん出てきますが、特に印象深いのは「Personal is political」と、御上先生が度々言う「考えて」というセリフです。
「Personal is political」とは、個人的な経験や問題が社会的・政治的な問題と密接に関連しているという考え方です。つまり、個人の生活における出来事や感情が、社会全体の構造や文化、政治に影響され、またそれに影響を与えることを意味します。
ドラマ『御上先生』は、このテーマを通じて、生徒たちが直面する個々の問題が、実は社会全体の問題とつながっていることを示しています。生徒一人ひとりが「考えて」行動することで、周囲や社会に影響を与えられることを伝えているのだと思います。
おわりに
子どもたちの成長を支えるためには、否定せずに寄り添い、自ら「考えて」行動する力を育むことが不可欠です。適切な問いかけや学習手法、ディベートなど多様なアプローチを活用し、子どもたちの可能性を最大限に引き出していくことが求められます。
教育現場で日々向き合う中で、私たち大人ができることは、子どもたちが自分自身の力で未来を切り開くサポートをすることではないでしょうか。ドラマ『御上先生』が伝えるメッセージを胸に、これからも子どもたちと共に歩んでいきたいものです。

